支援者たちを前に演説する佐喜真淳氏=2024年9月1日午前9時5分、沖縄県宜野湾市、小野太郎撮影

 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市の市長選が8日投開票され、無所属元職の佐喜真淳(さきまあつし)氏(60)=自民、公明推薦=が、いずれも無所属新顔で前市議の桃原功(とうばるいさお)氏(65)=立憲、共産、社民、沖縄社会大衆推薦=、磁気探査会社社長の比嘉隆氏(47)を破り、当選した。同市長選で自公が推す候補者の当選は2012年以降、5回連続となった。

 確定得票数は、佐喜真氏2万4173票、桃原氏1万6195票、比嘉氏705票。当日有権者数は7万7646人、投票率は53.27%で、知事選、市議選とのトリプル選挙だった前回(63.49%)より10.22ポイント下がった。

 市長だった松川正則氏が7月に急逝したことに伴うもの。いずれも普天間飛行場の早期返還を訴えた一方、返還のプロセスが最大の争点となった。

 佐喜真氏は「基地問題は国の判断が一番重要」として、政府が推し進める普天間の辺野古移設計画を容認し、政府が「30年代半ば以降」とする返還期日を明示することや、辺野古の完成前でも埋め立てが済んだ区域への普天間配備機の段階的移駐などを訴えた。

 また、佐喜真氏は12~18年にも市長を務め、当時副市長だった松川氏と市政を運営した経験もアピール。「松川氏の遺志を引き継げるのは私だけだ」と訴えて支持を広げた。

 一方、桃原氏は辺野古移設計画に反対の立場で主張を展開。計画の遅れが指摘されていることや、軟弱地盤の改良が難工事であることを踏まえ、「(返還は)さらに数十年かかる可能性もある」として辺野古移設と切り離した普天間の即時閉鎖を訴えた。玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力が支援し、玉城氏自身も応援に入るなどテコ入れしたが、及ばなかった。

 玉城氏にとっては、6月の県議選で県政与党勢力が少数に転じたことに続き、痛い敗北となる。(小野太郎、棚橋咲月)

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