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宝塚大劇場近くの「花のみち」にオスカルとアンドレ像がある=兵庫県宝塚市

記者コラム「多事奏論」 文化部(大阪)記者 河合真美江

 パリ五輪の夏は「ベルサイユのばら」宝塚歌劇団版が1974年の初演から50年を迎えた夏でもある。舞台を見たことがなくても、「ベルばら」といえば聞いたことがある人は多いかもしれない。

 原作はフランス革命を背景とする池田理代子さんの傑作劇画。王妃マリー・アントワネットに仕えていた軍人オスカルが信念の下、民衆側について戦う。命をかけた愛もある。王宮の人間ドラマがタカラジェンヌの生身の姿で迫ってくる。

 私は49年前に見て夢中になった。人間はすべて神の下に平等であり自由であるべきなのだと、オスカルはバスチーユ襲撃へ向かう。「シトワイヤン(市民よ)、行こう!」。決然としたセリフに小学生の私もドキドキした。

 社会人になって再演を見ると、男性社会で闘う女性としてのオスカルに目がいく。「女の命令に従えるか」と部下に反発されたり、「女のおまえと議論している暇はない」と将軍にいわれたり。「女」を強調するセリフが苦く響く。

 時代が変わり、心がざわつく…

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