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明日への一石~大変革期を考える
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記者解説 経済部・土居新平

 企業の業績は堅調で、個人消費も増えつつあり、経済は全体的に緩やかに回復している――。物価の安定を担う日本銀行は足元の状況をこう分析している。

 国の経済力を示す主な指標の国内総生産(GDP)は、物価の影響を取り除く前の名目値で2024年に600兆円を超えた。

 昨年10~12月期の法人企業統計でも、全産業(金融・保険業をのぞく)の売上高は四半期ベースで過去最高だ。

 日銀の調査では企業の設備投資計画も順調だという。

 こうした統計や調査結果は日銀の現状認識を裏付けるが、私たちは経済の好循環を実感しにくい。最大の要因は物価高だ。

 今年2月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数で前年同月比3.0%上昇。コメの高騰などを受けて伸び幅は3カ月連続で3%を上回った。生鮮食品を含む総合は3.7%となった。食料だけでみると7.6%上がり、うち生鮮食品は18.8%も上昇した。

ポイント

 物価高が続くのに、通貨の番人である日本銀行は目標にまだ届いていないとしている。政府や日銀が主張してきた賃上げと物価高の「好循環」は、本当に実現できるのか。デフレ脱却に向け金融緩和を優先したアベノミクスの弊害を、今こそ是正すべきだ。

 22年2月に始まったロシア…

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