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パレスチナ自治政府の主流派組織「ファタハ」の政治活動家で、地元メディアでコラムニストも務めてきたアウニ・マシュニさん=2025年3月28日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ベツレヘム、伊藤弘毅撮影

イスラエル人との共存を唱えるアウニ・マシュニさん(68)

 パレスチナ自治政府の主流派組織「ファタハ」の政治活動家です。地元メディアでコラムニストも務めてきました。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ベツレヘムにある難民キャンプで生まれ育ち、イスラエル当局による逮捕と長期の拘束も経験しました。

 1993年のオスロ合意で方向性が示された(イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が共存する)「2国家解決」の実現は、2023年10月7日のハマスによる大規模攻撃により一層厳しくなった。あの攻撃は、イスラエル人に「存在に関わる恐怖」を再び呼び起こしました。

イスラム組織ハマスの奇襲と、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃が始まって1年半。約2カ月の停戦期間を経て戦闘が再開され、終結の道筋は見えないままです。イスラエル、パレスチナ双方のさまざまな立場の市民の声を聞きました。

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 しかし、その結果、パレスチナ自治区ガザで起きていることは戦争犯罪で、大量虐殺です。イスラエルのネタニヤフ首相は自身の(政権を維持する)ために戦いを繰り広げ、その代償はパレスチナ人の血です。国際社会も、イスラエルの犯罪行為に抵抗しないことで、それに加担しています。

 1年半前を境に、イスラエルに対する私の見方は変わってしまった。この戦争は、彼らの精神構造をも変えてしまうでしょう。パレスチナ人に対するヘイトは過去最悪の水準に達しています。今のままでは、パレスチナ人は「決定的な結果」を迎えかねない。

 同時に、イスラエルの将来も…

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