物価の上昇分を差し引いた働き手1人あたりの7月の「実質賃金」は、前年同月より0.4%増え、2カ月連続でプラスとなった。主な要因はボーナス(賞与)の大幅増で、プラスの定着はまだ見通せていない。
厚生労働省が5日、7月分の毎月勤労統計調査(速報)として発表した。労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は、3.6%増の40万3490円で、31カ月連続のプラスとなった。実質賃金の計算に使う7月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.2%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金は0.4%増と、かろうじてプラスになった。
基本給、約32年ぶりの大きな伸び
現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は2.7%増の26万5093円で、1992年11月以来、約32年ぶりの大きな伸びだった。さらに賞与を含む「特別に支払われた給与」が6.2%増の11万8807円で、全体を押し上げた。
現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者は3.6%増の52万9266円、パートタイム労働者は3.9%増の11万4729円だった。
物価高騰の影響で、実質賃金は5月分まで過去最長の26カ月連続マイナスだったが、6月分(1.1%増)に続いてプラスを維持した。林芳正官房長官はこの日の会見で、「賃上げの明るい動きも統計上、もうしっかりと表れてきている」と評価した。
8月はマイナス、9月はプラス?
SMBC日興証券の宮前耕也…