高速実験炉「常陽」の原子炉格納容器内部=2023年6月、茨城県大洗町、佐々木凌撮影

 日本原子力研究開発機構が2026年度半ばに運転再開をめざす高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の安全対策工事について、県と大洗町は6日、原子力安全協定に基づく事前了解をした。事実上の運転再開容認になる。今後、機構は原子炉の停止や監視システムの多重化などの工事に着手する。

 大洗町は同日午前、国井豊町長が町役場で機構大洗研究所の吉武庸光所長に了解書を手渡した。国井町長は「安全最優先でやってほしい。住民が安心できるよう情報開示をお願いしたい」と述べ、吉武所長は「再稼働に向けて安全第一で工事を進める。地元の皆様の安心、安全、信頼を第一に、事業進捗(しんちょく)のわかりやすい広報に努めたい」と話した。

 国井町長は取材に、「安全と安心は別物だ。専門家が安全だと言っても、安心感において別な思いを持つ住民もいる。私も住民や観光客ら町と関わる皆様への説明責任がある。逐一つぶさに情報開示していただきたい」と強調。「原子力に携わる事業者には100%完璧な体制構築が求められる。一つでも欠けると信頼性が損なわれ、ひとたび何かあると国のエネルギー政策全般にかかわってくる」と釘を刺した。

 「町は半世紀以上、原子力と共存共栄を図ってきた。町にある施設から世界へ発信できる研究成果を期待したい」とも語った。

直接対話的な希望があれば対応

 吉武所長も取材に応じ、「再稼働へ向けた安全対策工事をしっかりやり遂げることに注力し、丁寧な説明に努めたい」と述べた。住民向けにわかりやすいリーフレットを作るとしたうえで、住民説明会を開くか問われ、「住民の皆様から直接対話的な希望があれば、町と調整して真摯(しんし)に対応したい」とした。

 さらに「常陽は西側諸国で唯一稼働をめざす高速炉。日本のエネルギー開発に貢献し、医療・産業分野、大学の研究、核融合炉材料開発などに役立てるよう取り組んでまいりたい」と話した。

1977年に運転開始

 県は同日、原子力安全対策課…

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