鐘崎が販売する黒い笹かまぼこ「仙臺BLACK」=2025年3月19日、仙台市青葉区、阿部育子撮影

 宮城県の名物「笹(ささ)かまぼこ」の老舗「鐘崎」(仙台市若林区)は20日から、真っ黒な見た目の新商品「仙臺(だい)BLACK」を売り出す。水揚げしても市場に流通させないことが多い魚やワカメを活用。おいしさはそのままに、フードロスの解消にもつながるとアピールする。

 黒い笹かまは、日本航空(JAL)が地域の産業などを支援する「JALふるさとプロジェクト」の一環で、鐘崎とJALの2社が共同開発。かまぼこの原材料としてはマイナーだった魚の「カナガシラ」のすり身に、傷がついたり、色落ちしたりしているというだけの理由で出荷対象ではなかった石巻市産ワカメを加えた。

 その結果、従来の笹かまよりも粘りけが強まり、歯ごたえのある食感になるとともに、味が深まったという。白いイメージが強い中で、イカスミで着色した黒い見た目もインパクト大だ。

 鐘崎によると、近年、魚の漁獲量は減っているが、身が少ないことやさばきづらさが理由で市場に出回らない魚は依然として多い。鐘崎はこれに着目し、あまり使われることがなかった魚の特徴やどんな加工が適しているか試しながら、商品開発に取り組んだという。

 19日午後には、2社の関係者が県庁を訪れ、村井嘉浩知事を表敬訪問。試食した知事は「おいしい!」と舌鼓を打った。「ワカメの食感がよく、風味がいい。環境に配慮した上で、県産食材のPRに貢献するものを作っていただいた」とたたえた。

 「笹かまになじみのない若い方や、外国人観光客にも食べてもらい、宮城の食文化を知ってもらいたい」と鐘崎の嘉藤明美社長。「仙臺BLACK」は5個入り税込み1500円。仙台空港2階売店など県内3カ所で販売する。

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