宮城県の村井嘉浩知事は18日、県が昨年から検討を続けていた土葬できる墓地の整備について、白紙撤回すると表明した。墓地の許可権を持つ市町村長が難色を示したため、断念した。SNS上では土葬墓地整備への批判が相次ぎ、自身も出馬する10月の知事選で争点化する可能性があったが、告示まで3週間を切ったタイミングで自ら収束に動いた。
18日午後にあった県議会の一般質問への答弁で表明した。自民党会派の菊地恵一県議が「多くの賛同を得られておらず、混乱解消のために取りやめることが適切ではないか」と質問。村井知事は13~17日に市町村長全員に電話で意思確認したとして「仮に県から打診があったとしても受け入れることができないという意見ばかりだった」と述べた。
- 浮上した土葬墓地計画 町長が耳を傾けた民意
墓地埋葬法や県条例は、墓地を新たに作る場合は市町村の許可が必要と規定。最終的な許可権者から同意を得られるめどが立たないため「実現は極めて厳しい状況にあり、検討自体を撤回することにする」と明言した。
12日にあった一般質問でも同様の質問を受けた。その時は「調査段階でやるかやらないかも決まっていない段階」と答えるにとどめたが、これを機に県内首長への意思確認をしようと考えたという。
土葬墓地をめぐっては、県は昨秋から県内整備の検討を始めた。背景には、インドネシアなどイスラム圏の外国人材を労働力として積極的に受け入れていることがある。イスラム教徒など宗教上の理由で火葬を望まない人への配慮を念頭に、国内にすでにある土葬墓地を視察するなど調査していた。
選挙対策? 知事は否定
だが、県が土葬墓地の検討に…