1993年4月、ワシントンのホワイトハウスで開かれた昼食会でクリントン米大統領(右から2人目)と話す宮沢喜一首相(左から4人目)=竹内行夫・元外務事務次官提供

 1993年4月にワシントンで行われた日米首脳会談で、宮沢喜一首相が中国の民主化が進まない状況と軍事大国化に懸念を示していたことが、外務省による12月26日の外交記録公開でわかった。中国との向き合い方を模索するクリントン大統領の質問に対し、自身の認識を率直に語っていた。

 クリントン氏は前年の大統領選で現職のブッシュ氏(父)に勝利した。中国政府が民主化運動を弾圧した89年の天安門事件以降、ブッシュ政権の対中政策を甘いと批判していた。だが、「極秘 無期限」とされた日米首脳会談の記録には、クリントン大統領が経済重視の立場から中国との間合いを探る様子が記されている。

 当時、中国の国内総生産(GDP)は米国の1割前後。クリントン大統領は、米国が通商などで中国を他国より不利に扱わない「MFN(最恵国待遇)」の更新をめぐり、「(人権改善の)条件をつけることに米国内で強い支持があるが、中国を孤立させてはならない」と述べた。

 意見を求められた宮沢首相は…

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