家族のETCカードで有料道路を通って不正に料金割引を受けたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われた暴力団会長(57)ら3人に対し、大阪地裁(三輪篤志裁判長)は14日、無罪の判決を言い渡した。「処罰には値しない」と判断した。
- 家族のETCカードで有料道の料金割引 実刑判決につながった事情は
大阪では同種の裁判ですでに5人に有罪判決が言い渡されており、判断が分かれた。
会長と事実婚の妻(55)、運転手の組員(40)は共謀して2022年12月、同乗していない妻のETCカードで大阪府内の有料道路を2回走り、高速道路会社に虚偽の情報を与えて1140円の割引を受けたとして起訴された。
判決は、本人以外のETCカード利用は基本的に想定されていないが、クレジットカードほどの本人確認は求められていないと指摘。家族間の貸し借りが不正だという周知も不十分で、家族間の貸し借りが相当数あるという弁護団アンケートも踏まえると、今回のケースは処罰するほどではないとした。
検察側は暴力団排除条項を免れる行為だと訴えたが、地裁は、妻を乗せずに使った頻度は低く「組員のためにETCカードを取得したとは認められない」と退けた。