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志田陽子・武蔵野美術大学教授

 選択的夫婦別姓の実現のために第3次訴訟が起こされ、同性婚が認められないのは「憲法違反」と訴えた裁判では「憲法24条に違反する」との判決が相次ぐ。戦後の日本国憲法で新たに生まれた憲法24条に注目が集まるのはなぜか。憲法学者の志田陽子・武蔵野美術大学教授に話を聞いた。

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 日本国憲法24条の元になる連合国軍総司令部(GHQ)案の作成に関わったベアテ・シロタ・ゴードンさんは著書にこう記しています。「家庭の中では夫の財布を握っているけれど、法律的には、財産権もない日本女性……これをなんとかしなければいけない。女性の権利をはっきり掲げなければならない」

 家父長的な家制度からの個人の解放を目指したのです。そのベアテさんが植えた苗木が大きな木に育ってきました。夫婦同姓の強制を定めた民法が24条などに違反するという裁判が進んでいます。裁判は当事者に負担になる大仕事ですが、それでも、「訴えたい」「社会を変えたい」と思う人が増えてきました。その背後には変化を求める大勢の人たちがいるのです。

可視化された女性たちの壁や不利益

 戦後、女性たちは社会進出を…

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