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文華堂が家系図作成の際に使う資料=同社提供
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 この夏、家系図作成を請け負う広島市内の会社に依頼が相次いでいるという。料金は高いもので70万円超。なぜ人気なのか。背景を探った。

 「こんなに多くの親戚がいたなんて……」

 A3用紙11枚を横につなげた、長さ約3メートルの家系図を見て、広島県東広島市の鍋島道樹さん(64)は驚いた。

 江戸時代に生きた5代前の直系先祖までさかのぼり、婚姻などで結ばれた10以上の家が連なる。記された親戚は400人を超える。鍋島さんは「自分が何者で、どういう経緯で生きているのか。それが知りたかった」と話す。

 きっかけは5年ほど前、大動脈解離で生死をさまよったことだ。死がよぎったとき、自分のルーツを無性に知りたくなった。

 鍋島という名字は旧佐賀藩主と同じ。先祖は佐賀藩主と関係があるのだろうか、関係あるのなら広島になぜ来たのだろうか――。親戚に聞いても詳しいことはわからなかった。

 そんな時、広島市中区の老舗印刷会社「文華堂(ぶんかどう)」の家系図作成サービスを知った。本人に代わって、役所から戸籍を取り寄せるなどして、家系図を作成する。美容院などを経営する鍋島さんに自分で調査する時間はなく、すぐに申し込んだ。

年10件の作成依頼、今年は3カ月で7件

 家系図は半年ほどで完成した…

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