総務省が7日に発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は31万3300円で、物価の影響をのぞいた実質で前年同月より0.5%増えた。増加するのは14カ月ぶり。コロナ禍の反動とみられる教育費の支出増や、3連休による好影響など、一時的な要因が大きく、「消費のトレンドが上向いたとはいえない」(総務省統計局)としている。
品目別で伸びが目立つのは、授業料の28.0%増だ。コロナ禍が収まり、私立大学で減免制度の利用が減ったことなどが影響したとみられる。塾などの補習教育も25.9%増えた。洋服も11.0%の大幅増で、気温が上がって夏物衣料の需要が高まった。
一方、食費は2.7%減った。牛肉や豚肉の消費が低調だった。物価高のもとで財布のひもを締める「節約志向」は解消されていない。
2人以上の勤労者世帯の実収入は、実質0.6%減った。これで減少は19カ月連続となる。物価水準が上がって家計の実収入が目減りし、消費に響く状況が続いている。今年の春闘で決まった高水準の賃上げの効果は、まだ十分に出ていない。(内藤尚志)