都心の公園にバラの香りが漂う季節が、やってきた。大阪市西区の靱(うつぼ)公園はこの時期、「バラ祭(さい)」の屋台やコンサートでにぎわう。今年の開催は17、18両日。最大5万人が訪れる手作りのイベントは、20年前、公園への一人の思いから始まった。
理想の公園像は
東西約800メートル、南北約150メートルの細長い靱公園。オフィス街のそばにあり、住む人以外はあまり通らず、子どもたちの姿もまばら。かつては、そんな寂しげな公園だった。
市が公園を盛り上げたいと考えたのは、完成50周年にあたる2005年だった。計画した記念事業の一つが、地域で活動する市民の講演会。講演者の依頼を、区内でデザイン会社を営む前波豊さん(73)に出した。
前波さんは、集客に困っている周辺の店を助けるために、付近の「お散歩マップ」づくりに取り組んでいた。公園をにぎやかにしたい、という思いは市と同じ。だけど、自分の講演会に人が集まるとは思えなかった。
そこで何げなく提案した。「ただ記念事業をやるのでなく、50年先の公園の姿を考えましょう」。これが転機になった。
市から活性化のアイデアを託…