富士山=2020年3月、山梨・静岡県境、朝日新聞社機から、内田光撮影

 富士山の大噴火に備え、内閣府の有識者検討会は21日、灰の積もる量などに応じて地域の危険度を4段階に分け、避難の必要性を示す指針をまとめた。降灰の影響で首都圏でも停電や交通、通信の乱れなど、都市機能のまひが想定され、「自宅で生活を続ける」を基本としつつ、降灰量が30センチを超えれば命の危険があるとして、原則避難を求める。

 富士山は過去5600年に約180回の噴火が確認された活火山だが、江戸にも火山灰をもたらした宝永噴火(1707年)を最後に約300年間、噴火が確認されていない。

相模原に30cm、新宿に3cmの灰

 政府の中央防災会議は2020年、同程度の大噴火が起きた場合、東京都新宿区付近で3センチ以上、相模原市付近で30センチ以上など福島から静岡まで11都県に降灰があるとする予測を公表。富士山から離れた地域でも大規模な鉄道の運行停止や、停電や通信障害、上下水道の使用制限なども想定され、今回は住民の対応策などをまとめた。有珠山(北海道)や浅間山(群馬・長野県)、阿蘇山(熊本県)など全国の活火山への応用も想定する。

危険度4段階で避難判断へ

 指針は降灰量や物資の輸送に使う道路の状況によって、地域をステージ1~4に分けた。最も危険なステージ4(30センチ以上)は原則避難で、降雨時は木造家屋の倒壊の可能性もある。降灰量が30センチ未満では「できる限り自宅等で生活を継続することが基本」としつつも、ステージ3(3~30センチ)は道路の除灰が追いつかず物流に影響が生じ、生活物資の入手が困難な状況も想定される。

 そのため、指針は平時からの備蓄の重要性を呼び掛け、噴火の兆候などがあれば、事業者には従業員の出勤抑制やテレワーク体制の確認などを求める。

大量の灰への対策 企業や自治体は

 富士山が大噴火すれば、首都圏を含めて広範囲で降灰が予想される。健康への影響や都市機能のまひ、東京ドーム約400杯分の灰の除去も想定される中、どのような備えができるのか。

富士山が噴火したときの火山灰は、どんなもので、街の何に影響があるのか。記事後半では、火山学者の見方やインフラ企業、自治体の対策をお伝えします。

 火山灰は直径2ミリ以下と細…

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