Smiley face
写真・図版
富士山のふもとに広がる森林に生えているクロモジ(手前)とnoi社長の田中麻喜子さん(右)、副社長の別府大河さん夫婦=2025年4月29日、山梨県富士吉田市上吉田、豊平森撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 富士山の森の植物から、アロマ製品やハーブティーをつくって販売している。山梨県富士吉田市で2年前、ワイルドアロマブランド「noi(ノイ)」を立ち上げたのは、東京からの2人の移住者だ。

 2022年3月、最初にやって来たのは社長の田中麻喜子さん(33)だ。別の仕事をしていて最初は「東京との二拠点居住」を考えていた。

クロモジの香りでリラックス

 「自然がすごく近い。水も空気もおいしい。余計なノイズがない」。目の前にそびえる富士山。ふもとの森に入るうちに、動植物の多様性に強くひかれた。

 衝撃を受けたのがクロモジだ。ヒノキやアカマツが林立する足元に生えている低木。高級つまようじの材料にもなるが、ほとんど活用されていなかった。

 「枝を折ってもむと、かんきつ系の香りがした。ブレンドされた精油のような芳醇(ほうじゅん)さがあってスパイシー。リラックスできた」。森の香りで富士山を表現したいと思った。

「noi」に込めた2人の思い

 7カ月後、田中さんを追ってやって来たのが副社長の別府大河さん(32)だ。東京で飲食店の企画の仕事をしていたが「心身ともに疲弊し切っていた」。仕事を辞めて2人でピクニックをしたり富士五湖の自然に触れたりするうちに元気を取り戻した。クロモジにお湯を注いで飲んでみるとおいしかった。

 「香りに特化した事業ができ…

共有