中期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」を発表する経団連の十倉雅和会長=2024年12月9日、東京・大手町、木村裕明撮影

 経団連は9日、2040年を見据えた「公正・公平で持続可能な経済・社会」の実現に向けた提言を発表した。富裕層への課税を強化して10年後に5兆円規模の税収を確保し、現役世代の社会保険料の負担を抑えて「分厚い中間層」をつくるべきだとした。来年5月に2期4年の任期を終える十倉雅和会長にとって、総仕上げの提言となる。

  • 経団連、労働時間法制の見直し提言 裁量労働制も「例外から原則へ」

 提言のタイトルは「FUTURE(フューチャー) DESIGN(デザイン) 2040」。高齢者数がほぼピークを迎える40年を見据え、資源のない島国で、少子高齢化や人口減が進むという大きな制約条件に直面する日本が「成長と分配の好循環」を続けるための道筋を示した。二つの制約条件から派生する日本の諸課題は「相互に絡み合う入れ子構造をなしている」と指摘。全世代型社会保障、環境・エネルギー、地域経済社会、イノベーションを通じた価値創造、教育・労働、経済外交という六つの柱を設けつつ、全体最適の視点で包括的な提言をまとめた。21年の会長就任時から「社会性の視座」を唱え続ける十倉カラーがにじむ内容だ。十倉氏は9日の記者会見で「提言が起点となって、中長期的な視点で国のあり方について議論が深まることを期待している」と述べた。

 分厚い中間層の形成に向けて…

共有
Exit mobile version