大分県豊後高田市の国史跡「富貴寺(ふきじ)境内」にあり、大規模な保存修理工事を実施している本堂で7日、工事の現場が一般公開された。江戸中期の1715年に建てられたとされ、建立当初の姿に復元する工事。めったに見られない機会だけに、参加者は興味津々の様子で担当者の説明を聞いた。

 本堂は、現存する九州最古の木造建築物とされる平安後期建立の大堂(おおどう)(国宝)よりも低い場所にある。経年劣化で雨漏りも生じ、2018年度から初めてすべて解体して組み立てる根本修理を進めている。市教育委員会によると、26年度末に完成予定。屋根はかやぶき型銅板ぶきにし、古い部材を極力再利用する一方、梁(はり)などは同じ曲がりのマツ材を探して取り換える。

 この日は午前と午後の2回に分けて約40人が参加した。工事を設計・管理する公益財団法人文化財建造物保存技術協会(本部・東京)の担当者が、新たに補った部材に「令和○年度」といった焼き印を押して将来の修理に役立てることなど特徴的な作業を説明。解体中に見つかった約300年前の和釘を見せ、古くから伝わる大工道具の槍鉋(やりかんな)と釿(ちょうな)の実演もあった。

 この日までに、地元の小中学生を対象にした見学会も開かれた。工事を請け負っている小山社寺工業所(本社・福岡市)の工事長で、現場の棟梁(とうりょう)をつとめる武藤章生さん(50)によると、木材の加工・組み立て工事としては7割程度終わった段階という。「順調に進んでいる。本来の姿に近づけるように努力したい」と話した。

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