夜間高血圧、知ってる?

 みなさん、血圧をはかりましたか? 今回のテーマは、「夜間高血圧」。睡眠中の高血圧には、さまざまなリスクが潜んでいることが、最近わかってきているといいます。日本高血圧学会理事長の自治医科大学・苅尾七臣教授に語ってもらいます。

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 朝や夕方にはかる血圧の値が安定していても、眠っている間の血圧が高い。こうした夜間の「仮面」高血圧の人は、およそ4人に1人いることがわかっています。しかも、夏場はこの割合が2倍ほど高まります。

 この夜間高血圧があると、心不全や脳卒中のリスクが高くなることが、最近の研究でわかってきました。

脳卒中になるリスク3.6倍 心不全は…

 私たち人は一般的に、眠っている間は副交感神経が優位になって、血管が広がり、心臓の働きも穏やかになります。このため、眠っている時の血圧は、日中に比べて10~20ミリHgほど下がります。つくられる尿の量も減るのが通常です。

 ところが、中には、眠っている時も血圧が下がらない人や、反対に下がりすぎてしまう人、さらに、眠っている時のほうが血圧が高くなる人がいます。この、「高くなる人」は最も危険度が高く、一般的な人に比べて脳卒中になるリスクは約3.6倍高く、心不全になるリスクも約2.5倍高くなります。

 眠っている間に血圧が上がる理由はいくつかあります。

こんな人は、高血圧かも?

 一つは、体内の塩分量が多いこと。腎臓が悪かったり、塩分過多の食事をしていたりすると、日中の血液循環だけでは余分な塩分を排出しきれず、夜間にも排出しようと体が反応します。このため、血圧が高くなり、つくられる尿が多くなります。

 もう一つは、夜間に無呼吸をくり返す、睡眠時無呼吸症候群があること。止まった呼吸が再開するときに、血圧は190ミリHg近くまでドカンと上がります。

 このほか、眠りが浅かったり、ストレスにさらされていたりして交感神経がたかぶっている時なども、血圧は上がります。

 眠っている間のことなので自覚するのはなかなか難しいですが、夜中に3回以上トイレに起きる、夜間の尿が多い、といった症状がある人は、夜間の高血圧を疑ってください。塩分が多い食事をしている人も、要注意です。

 最近、眠っている間の血圧を夜通しはかることができる、コードレスタイプの血圧計の開発がすすんでいます。手首で測定するものや、上腕で測定するものが出てきていますので、気になる方は、夜間の血圧をはかってみるとよいかもしれませんね。

 次回は、夜間高血圧だとわかったときの対処法を紹介します。

眠っている間の血圧を測ることができる、コードがない血圧計の例。上腕にまくタイプ=エー・アンド・デイ提供

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