故グエン・フー・チョン共産党書記長のひつぎを見送るため、沿道に集まった人々=2024年7月26日、ハノイ、ライ・タイン・ビン撮影

 ベトナムの最高指導者、グエン・フー・チョン共産党書記長が死去し、3日、13年ぶりにトー・ラム新書記長(67)による新体制が始動しました。昨年以降、政府の最高幹部が相次いで解任されるなど、波乱が続くベトナム政治の現在地と今後の見通しは――。アジア経済研究所の石塚二葉研究員に聞きました。

  • ベトナムで13年ぶりに新指導者 警察組織出身、「汚職撲滅」を指揮
  • チョン前書記長の足跡 ベトナム戦争後初の訪米、オバマ氏と会談

 ――13年にわたる異例の長期政権を率いたチョン氏。国内外でどのように評価されていますか。

 社会主義への信念という面で、党指導部でも随一の保守派でした。これまで不可能と思われていたような政治システムの改革を進めた稀有(けう)な指導者で、政治手腕への評価や国民の支持は高かったといえます。

 中でも、汚職が問題となっていた党に対する国民の信頼を回復することに尽力しました。

 ――政権幹部や公務員らを次々と処分した「反汚職闘争」が特徴的でした。

 チョン氏の功績として最もよく知られています。

 2011年の書記長就任後、それまで政府に置かれていた汚職防止の委員会を党政治局に移管し、自らが委員長となって指揮しました。

 16年の再選以降は、これまで摘発の対象とならなかった党政治局員や軍、公安の幹部といった高級幹部まで、処分や処罰の手を拡大しました。

 ――反汚職闘争が、政敵を攻撃する権力闘争の手段に利用されているとの見方もありました。

 そうした見方は根強くありましたが、慎重に評価する必要があります。

 チョン氏自身は権力の座に就…

共有
Exit mobile version