絶滅の危機に瀕(ひん)している「ツシマウラボシシジミ」が、本来の生息地・長崎県対馬市から1千キロ離れた東京都の足立区生物園で10年以上にわたり保護され、絶滅を免れている。独自に編み出された方法で、今年も春から繁殖が始まる。
シジミチョウの一種で、羽を広げても2センチほど。対馬に生息する固有亜種で、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定され、「日本で最も絶滅に近いチョウ」とも呼ばれている。
1990年代まで対馬市北部の広い範囲で見られたが、チョウ類保全協会の2012年の調査で、林業の衰退やシカの食害で絶滅の危機にあることが判明。生息環境に近い大温室を備える足立区生物園に白羽の矢が立った。
翌13年9月以降は、それまで確認されていた唯一の生息地でも確認できなくなった。その直前に捕獲された数匹が生物園に運ばれ、繁殖に成功。14年には環境省の要請を受け、生息域外で保護繁殖して絶滅を回避する「生息域外保全」に取り組んできた。
生物園では独自に年3回の繁…