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桐生第一戦で1失点完投した専大松戸の右腕、田中昇之介

 (第77回春季関東地区高校野球大会準々決勝、専大松戸4―1桐生第一)

 専大松戸(千葉)の技巧派サブマリン、田中昇之介が公式戦初の先発マウンドで躍動した。

 直球の最速は122キロにとどまるものの、「まっすぐと同じ振りで変化球を投げることを意識している」。スライダーとシンカーの横の変化で揺さぶり、90キロ台のカーブで緩急の差をつける。要所で内角ぎりぎりに直球を突き刺すと、前の試合で18安打を放った桐生第一(群馬)打線は内野ゴロを連発した。

 1四球、散発5安打に封じ、1失点で完投した。田中は「きょうは低めに決まった。投げ切れてよかった」。持丸修一監督は「三回ぐらいまでと思っていたけど、最後までいってくれた。強力打線なら本格派より技巧派(の田中)。うまくはまった感じですよね」。

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 専大松戸出身のサブマリンと言えば、2019年にソフトバンクで12勝を挙げ、今は巨人でプレーする高橋礼だ。ただ、高橋は140キロ超の直球を誇り、制球力で勝負する田中とは少しタイプが違う。持丸監督は「(高橋は高校3年の)この時期ですでに130キロ以上投げていたからね。ただ、(田中は高橋に)コントロールなら勝てるかもしれない」。

 田中は中学硬式の強豪「取手リトルシニア」にいたころから下手投げで、当時は投手陣の「3~4番手」。同じ右の下手投げである高橋を育てた持丸監督を慕って、茨城から専大松戸に進学した。

 背番号1を背負った春の県大会は、習志野との決勝で3失点。「10」で臨んだ今大会、関東4強へと導いた。

 「この試合で成長できた。もう一度1番を取り返す」

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