(22日、第107回全国高校野球選手権熊本大会準決勝 東海大熊本星翔5―0専大熊本)
全身をバネのように弾ませ、左腕から思い切り投げ込む。専大熊本のエース山本吏騎投手(3年)が躍動した。
最速140キロの直球と切れのある変化球、抜群のスタミナ。身長169センチと小柄だが、大会屈指の好投手と呼ばれ、「うちは勝っても負けても山本のチーム」と橋本裕貴監督。今大会は準々決勝までの全3試合のマウンドをほぼ1人で守った。
この日も先発。第1シードの東海大熊本星翔を、三回までは三者凡退に。だが四回、高めに浮いた球を狙われた。犠打と5安打で計3失点。七回も2点を奪われた。「内角を丁寧について打ち取りたかったが、相手が一枚上手だった」
それでも笑顔を絶やさず、反撃を狙った。七回の攻撃では2死から右前打で出塁。そこから満塁まで好機が広がったが、得点はできなかった。
昨夏も背番号1を背負ったが、準々決勝で適時打を許し、サヨナラ負け。「あのときの1球が、もう少し低く入っていたら」。悔しさを胸に走り込んで足腰を鍛え、体重も増やして臨んだ夏。最後までマウンドに立ち、球威は衰えず8三振を奪った。
「自分に託してくれた仲間と監督に感謝したい」。試合後、すっきりとした表情で振り返り、前を向いた。「成長できた、と思う。やってきた全てを後輩に伝えたい」