第2回達人戦の決勝戦に臨む丸山忠久九段=2024年12月4日午後5時16分、東京都立川市、杉村和将撮影

 将棋の棋戦「第2回達人戦」の決勝戦が4日、東京都立川市で指され、丸山忠久九段(54)が初優勝した。参加資格を満50歳以上に限定して昨年創設された棋戦。丸山九段は昨年の準優勝者で、永世名人や元タイトルホルダーなど歴戦の大棋士が集うトーナメントを制して雪辱した。

 この優勝で「達人」の称号を得た丸山九段だが、表彰式では「準々決勝の1局目、準決勝の2局目とも内容があまりよくなかった。前夜祭で『達人戦に恥じないような将棋を指したい』と言ってしまいましたが、ちょっと後悔していました」と苦笑い。「まだまだ達人という名には遠いですが、達人を目指してこれからも研鑽(けんさん)していきたいと思います」と語った。

 達人戦は、持ち時間各30分、使い切ると1手30秒未満で着手しなければならない早指し棋戦。今回は57人が参加し、予選を勝ち抜いた4人とシード棋士4人の計8人が3、4の両日、立川市の「立川ステージガーデン」で公開対局で戦っていた。

 丸山九段は、昨年の準優勝者として決勝トーナメントにシード棋士として参加。準々決勝で増田裕司七段(53)、準決勝で森内俊之九段(54)をいずれも終盤の逆転劇で破り、決勝に勝ち上がった。

 決勝の相手は行方尚史九段(50)で、形勢が二転三転するめまぐるしい攻防となったが、要所で強気に踏み込む指し手がさえ、最後は敵玉を即詰みに討ち取った。

 丸山九段はこれまでに名人2期、棋王1期のタイトル通算3期を獲得した実力者。一般棋戦でもNHK杯戦や将棋日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)など、本大会前までに13回の優勝を重ねてきたが、50歳を過ぎてからも活躍が目立つ。

 昨年11月の銀河戦の決勝では、八冠を達成したばかりの藤井聡太名人・竜王を破って優勝。2023年度の将棋大賞表彰では、敢闘賞を受賞している。

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