将棋の藤井聡太王位(22)=名人・竜王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=が27、28の両日、神戸市北区の「中の坊瑞苑」で指された第65期王位戦七番勝負(新聞三社連合主催)第5局で、挑戦者の渡辺明九段(40)に勝ち、シリーズ成績4勝1敗でタイトルを防衛した。王位戦5連覇となり、7月の「永世棋聖」に次いで自身二つ目の永世称号となる「永世王位」(連続5期もしくは通算10期保持が条件)の資格も得た。永世王位の資格を得たのは大山康晴十五世名人(故人)、中原誠十六世名人(76)、羽生善治九段(53)に続き、史上4人目。
藤井七冠は7月に棋聖戦5連覇を達成し、「永世棋聖」(通算5期保持が条件)の資格を獲得。21歳11カ月での永世称号獲得で、最年少記録を更新していた。7月19日が誕生日の藤井王位は、22歳1カ月での「永世王位」獲得となった。
日本将棋連盟によると、今回、藤井七冠が22歳1カ月で永世二冠を達成したのも最年少記録。1995年7月に羽生九段が24歳9カ月で達成した、従来の記録を塗り替えた。
また、これで藤井七冠のタイトル獲得数は24期(名人2期、竜王3期、叡王3期、王位5期、王座1期、棋王2期、王将3期、棋聖5期)となった。
一方、名人3期などタイトル獲得31期の渡辺九段は王位戦初登場だったが、初の王位獲得は成らなかった。
第5局は28日午後6時21分に終局。先手番だった藤井王位が97手で勝った。終局直後のインタビューで、藤井王位は今シリーズを「内容としては押されている将棋が多かった。この(防衛という)結果には幸運もあったかなと思いますし、もっと力をつけなくてはいけないと感じたシリーズでもあったかなと思います」と振り返った。王位戦5連覇と「永世王位」の資格獲得については「対局に臨むうえでは意識していなかったんですけど、永世称号を得られたということも嬉しく思っています」などと話した。
敗退した渡辺九段はインタビューで今シリーズの振り返りを求められたのに対し、「途中までは、内容的には、まずまず戦えていたかな、とは思っていたんですけど……。4局目、5局目と全然、良いところが無い将棋になってしまったのは、ちょっと残念というか……」と話した。(佐藤圭司)