千日手が成立し、駒を片付ける永瀬拓矢九段(左)と藤井聡太名人=2025年5月30日午前11時1分、茨城県古河市、菊池康全撮影

 藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋聖・棋王・王将と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦している第83期将棋名人戦七番勝負第5局(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛、茨城県古河市など地元主催)は30日、同市のホテル山水で再開し、2日目に入った。再開後、午前10時59分、同一局面が4回出現し、77手で千日手(引き分け)が成立。第4局に続き、2局連続で千日手となる異例の展開となった。

 藤井名人が開幕から3連勝した後、第4局は千日手指し直しの末、大熱戦になり、永瀬挑戦者が逆転勝ち。第5局も永瀬挑戦者が勝てばシリーズの流れが変わる可能性もある。大一番だ。

 30日午前9時に再開。前日夕に永瀬挑戦者が48分の長考で封じていた67手目は▲4八飛。検討陣は意表をつかれ、「えー」という驚きの声も。副立会人の斎藤明日斗(あすと)六段(26)は「意外な一手」と述べたが、しばらく考えた後、「次に▲4六金~▲3五歩の攻めが有力。指されてみると盤上の景色が変わりました」と評していた。

 ただし、藤井名人が△8一飛と指し、永瀬挑戦者も▲2八飛と戻すと、「千日手か」と検討陣。1日目指了図の1手前の局面に戻った形だ。その後、この局面が4回出現し、千日手が成立。対局規定によると、午前11時半に先手と後手を入れ替えて指し直しとなった。

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