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週に1度の貯蓄組合の会合。お金の預け入れや記帳をみなの前で行う=ガーナ・イースタン州
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現場へ! カカオの希望をさがして③

 「本当に豆がない!」。カカオやナッツを扱う東京の商社コンフィテーラで食品原料本部長を務める久保田匡彦(46)は今年3月、JICAの「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」で初めて訪れたガーナの地で、衝撃を受けた。

 聞いていた異常気象や病害などによる不作の状況が、目の前に現れた。輸出拠点の港は閑散としている。国内でチョコレートを作る悲願を達成した地元のメーカー「ニッチェ」の工場もほとんど稼働していない。

 ガーナは世界2位のカカオ生産国で、日本で使われる豆の75%が同国産だ。隣国で1位のコートジボワールと合わせて世界生産の半数を超える。その西アフリカでの不作は国際価格の高騰をもたらし、4月の平均価格は前年の3倍以上に。「カカオショック」の出口は見えていない。

 こうしたなか、日本の大手メーカーは値上げや内容量の変更に着手。酸味が少なく日本人の口に合うと好まれるガーナ産だが、南米など別の調達先を探る動きもある。

 「不作が続けば農家は苦しくなり、児童労働も減らない」。久保田と同じ危機感を抱くのは、業界団体の日本チョコレート・ココア協会の事務局長代理、藤田康子だ。

 「世界一厳しい」と言われる日本の農薬検査の説明などで訪問経験のある藤田が今回注目したのは、カカオ農家を支援する取り組みだった。

 業務用チョコレート最大手…

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