ポリオ患者207人の手記をまとめた「ポリオの軌跡」

 ポリオウイルスに感染し、小児まひの後遺症を抱えて生きてきた全国のポリオ患者たちが自らの人生を手記にまとめた。ワクチン導入で流行が収束し、患者会の平均年齢が70歳を超える中、ポリオの歴史を後世に伝える営みだ。

 手記をまとめたのは「全国ポリオ会連絡会」(会員約800人)。

 共同代表を務める神戸市須磨区の柴田多恵さん(69)が「生きてきた軌跡を後世に残しませんか」と会員に呼びかけ、昨春までに207人分の手記が届いた。1年がかりで「ポリオの軌跡」(A4判488ページ)の発行にこぎつけた。

 厚生労働省によると、ポリオは子どもがかかることが多く、手や足などにまひが残ることがある。国内では1940年代ごろから流行し、60年には北海道を中心に5千人以上の患者が出たが、ワクチンの導入で収束し、80年の1例以降、患者は出ていない(ワクチンによる感染を除く)。

中高年になって新たな症状出ることも

 患者の年代順に並べられた手記からは、医療や福祉の移り変わり、患者が受けた制約や差別の実態が浮かび上がる。

 宮城県の70代の男性は1歳…

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