子どもたちの健康を守る「断熱ワークショップ」が、青森市立原別小学校で6月1日に開かれる。冷暖房の効率を高め、電気代や灯油代の節約になる断熱は、地球温暖化対策の切り札とされ、注目されている。
学校の断熱は、子供たちの健康にとっても重要で、教室の断熱化を目指す動きは全国に広がっている。今回のワークショップを主催する温暖化防止に取り組む市民グループ「青森の温暖化対策を考える会」(中堀一弥代表)は「県内で温暖化問題の深刻さや断熱の大切さを考えるきっかけになってほしい」と話している。
今年もすでに最高気温30度を記録するなど、温暖化の影響は県内でも顕著になっている。県内の公立小中学校(普通教室)のエアコン(冷房)普及率は97%を超えているが、学校の多くは断熱されていないため、エアコンの利きが悪く、教室内がうだるような暑さになることも珍しくない。
冬も断熱がないと教室は暖まりにくい。エネルギーロスが多く、冷暖房のための電気代や灯油代はかさむ。日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量のうち、建物からが3分の1を占めており、脱炭素の実現には断熱による建物の省エネが欠かせない。
断熱ワークショップは、子供や保護者らが、地元の工務店などの手を借りて、教室の壁や天井に断熱材を入れたり、内窓をつけたりして、外気からの暑さや寒さを遮る改修作業だ。2019年ごろに始まり、長野県や岡山県、埼玉県など、全国各地の小中高校で開かれている。
教室を使う子供たちは、作業の前と後で快適さや効果を実感できる。室温計やサーモカメラを使えば、数値や視覚で断熱効果を知ることも可能だ。加えて学校や地域で断熱や温暖化問題についての関心を高める社会的効果も期待できる。
ただ、1教室あたり内窓には60万~100万円、壁に断熱材を入れるには30万~50万円の費用がかかるため、どう捻出するかが課題だ。
原別小のワークショップを主催する中堀さん(44)は今年1~2月にクラウドファンディングを実施。「自分たちだけで工事費用を賄うのは難しかったのと、多くの人たちに知ってもらえると思って挑戦した。集まるかどうか心配だったが、県内外の167人から支援をもらうことができた」。支援金は最終的に165万円集まった。
当日は午前9時から、原別小の児童や保護者が、事前工事をした工務店の指導を受けて、内窓をつけたり、断熱材を入れたりする。専門家による温暖化や断熱についてのレクチャーも予定されている。中堀さんは「子供たちには、大工さんの仕事を知り、楽しみながらやってほしい。関わった大人たちには、子供たちの姿を見て、断熱や温暖化について考える機会にしてほしい」と話す。一般の見学は受け付けないが、ワークショップの様子は後日、動画や記事として会のホームページに掲載する予定という。