スライドを使いながら、受け継いだ「被爆体験」を語る細井奏志さん=2025年3月22日午後、長崎市の長崎原爆資料館、小川崇撮影

 東京で暮らす小学4年生が長崎原爆の「語り部」として活動を始めた。70歳以上も年の離れた小学生に体験を託したのは、苦しみを抱える83歳の被爆者だった。

 長崎原爆資料館(長崎市平野町)で3月22日午後に開かれた語り部の催し。「交流証言者」になったばかりの東京都世田谷区の小学4年生、細井奏志(そうし)さん(10)が、手作りのスライドなどを使って「被爆体験」を語った。

 「丸いテーブルでご飯を夢中になって食べていた。ちょうどそのときです。『ピカ』と外で何かが光り、強い衝撃を感じました」

 交流証言者とは、高齢化する被爆者本人に代わって、その家族以外の人々が体験を語り継ぐ取り組みだ。活動を後押しする長崎市によると、奏志さんは最年少の語り部で、この日が初めての活動だった。

 奏志さんが語った体験は、長崎で被爆した三田村静子さん(83)から受け継いだものだ。三田村さんは紙芝居の朗読で核廃絶を訴えるなど、平和活動を40年近く続けてきた。

受け継いだ「被爆体験」を語る細井奏志さん。手前は、体験を託した三田村静子さん=2025年3月22日午後、長崎市の長崎原爆資料館、小川崇撮影

 きっかけは2023年の春休みだった。奏志さんは家族旅行で長崎市を訪れ、原爆資料館を見学した。ボランティアガイドとして館内を案内してくれたのが三田村さんだった。

奏志さんと三田村さんがした「約束」

 そのとき、三田村さんと約束…

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