Smiley face
写真・図版
2029年4月13日、地球の約3万キロ上空を通過する小惑星アポフィス(右)のイメージ。探査機で観測を試みる欧州宇宙機関(ESA)の計画に日本も参加を検討している©ESA-Science Office

 大災害を引き起こす小惑星の衝突にどう備えるか――。SFではなく現実的な課題として、政府が研究を進める方針を決めた。内閣府の宇宙政策委員会は9日、宇宙基本計画工程表に「プラネタリーディフェンス(地球防衛)」を新たに盛り込む案を大筋で了承。年内にも宇宙開発戦略本部(本部長・石破茂首相)で正式決定する見通しだ。

 頻度は少ないものの小惑星や彗星(すいせい)などの天体が地球に衝突すると大災害につながる。6550万年前には、大きさ約10キロの天体が衝突し、恐竜を含む多くの生物種が絶滅したとされる。

 1908年には、50~60メートルの天体が中央シベリア上空に突入し、東京都の面積に匹敵する約2千平方キロにわたり樹木がなぎ倒される「ツングースカ大爆発」が起きた。2013年にはロシア上空で大きさ約17メートルの隕石(いんせき)が爆発し、1500人以上がけがをした。

 政府は今回の工程表改訂案で、29年4月13日に約3万2千キロの距離まで近づく小惑星アポフィス(直径約340メートル)への対応を想定する。衛星の静止軌道(高度3万6千キロ)より内側まで近づくのは観測史上初という。

 欧州宇宙機関(ESA)は2…

共有