帝国の幻影~壊れゆく世界秩序~プーチン氏が描くロシア【3】
ロシアのプーチン大統領は、侵攻を続けるウクライナについて「全体が我々のもの」と主張しています。力の論理を振りかざすさまは、かつての「帝国」を見るようです。プーチン氏はどんな国際秩序を思い描いているのか。日本はどう向き合うべきなのか。ロシアの安全保障政策を研究する小泉悠・東大准教授に聞きました。
――プーチン氏は6月に登壇したフォーラムで、ロシアとウクライナが「一つの民」だとし、「その意味でウクライナ全体が我々のものだ」と持論を繰り返しました。ウクライナ人の独立と主権に向けた権利を疑ったことはないと言いつつ、ウクライナが「非同盟、非核、中立」であるべきだとも要求しています。
「欧米にくみすることなく、おとなしくしていれば一応、独立国の地位をあげよう。でも生意気になってきたらお取りつぶし」という言い方です。そのくらいの感覚で中小国を見ているので、極めて上から目線な情勢認識があると思います。大国の都合で他国を好きにしようとするところが、現代人から見ると帝国的な秩序をめざしているように映ります。
- 【前回はこちら】ウクライナ侵攻は避けられぬ戦い 政権の歴史観すり込む国定教科書
記事の後半には、小泉さんがプーチン氏の世界観やトランプ米大統領との類似点について語ったインタビュー動画があります。
――日本は欧米と協調しながら「ルールに基づく国際秩序」を訴えてきましたが、プーチン氏はどんな世界観を持っているのでしょう。
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