記者コラム「多事奏論」 編集委員・高橋純子
先月中旬、帰省した際に立ち寄った、生鮮食品から衣料品、家電までそろう倉庫みたいな激安スーパー。どどーんと山盛りの買い物カゴふたつ差し出したのがちょっと恥ずかしくて、「安いからついつい」と白髪まじりのセミロングを後ろで一つに束ねたレジ担当の女性に言ったら、ピッピッピッ、バーコードをかざす手をまったくゆるめることなく、色のない唇が高速で動いた。
私ね、ここで10年以上レジやってるけど、昔はカゴ1杯5千円ぐらい、いまは8千円以上。石破さん、安倍さんのこと批判してたけど自分は何がしたいのかぜんぜんわからない。給付金でも減税でも、ほんっとに早く何とかしてほしい、はい、1万6258円になります。
愚痴とか不満ではない。政治への怒りがスーパーでスパーク。公文書が廃棄されようが、政治家が裏金ためこんでいようが、仕方ない、大したことないと素知らぬふりしてきたひとたちの堪忍袋の緒が、物価高で切れかかっている。そもそも私がこのスーパーに来たのは、実家の米びつを満たすためだったのだが、棚は見事にからっぽ、残された値札には1年前の倍の価格が記されていた。
石破政権、こりゃ厳しいわ。
そう独りごちてエコバッグ三…