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小田香監督(右)と小森はるか監督
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 沖縄のガマなど日本各地の地下を映していく「Underground アンダーグラウンド」が3月1日に公開される。ドキュメンタリーにもアート作品にも見える幻想的な今作は、「集団の記憶」をテーマにしている。手がけた小田香監督と、東日本大震災の被災地を映画で記録してきた小森はるか監督に、今作や、制作で心がけていることについて語り合ってもらった。

 ――2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に、小田監督が東欧の炭鉱を映した「鉱 ARAGANE」を、小森監督が岩手県陸前高田市の一人の男性を追う「息の跡」を出品しました。ともに反響がありましたが、当時2人は知り合いではなかったそうですね。

 小田 映画関係者と話したとき、「『息の跡』がすごかった」と言われたのをよく覚えています。

 小森 あの年の会場では「鉱 ARAGANE」がすごく話題になっていて、(小田監督とは)同世代でもあるので意識していました。

 ――小田監督は「鉱 ARAGANE」「セノーテ」に続き、「Underground アンダーグラウンド」でも地下の空間にカメラを向けました。今作では映画作家・ダンサーの吉開菜央演じる「シャドウ(影)」という存在が様々な場所を訪ねます。

 小田 当初はロケ地の風景と手と、手の影を撮ることで映画を作ろうとしました。場所の記憶に触れる、その記憶を他の人につなげる存在としての手を映していきました。けれど手だけでは限界があると感じて、結果として見る人と映す世界の媒介者であるシャドウが誕生した。シャドウは戦争体験の話などに耳を傾けます。

 ――プロジェクターによる光彩や、説明を極力排した映像も、今作を幻想的にしています。一見、特定の人たちや街をじっくりと映す小森監督の作風とは違う印象を受けました。小森監督は、自身の作品と似ていると感じた部分はありましたか。

ショッキングな映像、用いない理由は

 小森 ダムの風景が登場する…

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