Smiley face
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大学生の頃の山崎理咲子さん=本人提供

 東京都の山崎理咲子さん(25)は小学1年生のときに脳腫瘍(しゅよう)の治療をした。その影響で、様々なホルモンを分泌する下垂体の機能が低下している。今も、6種類の薬を使っている。でも、「困っているでしょ」と決めつけられるのが、ずっと嫌だった。

 年長のとき、すぐにのどが渇き、おねしょをするようになった。そのことで母から怒られることがつらかった。「寝る前に水分を取らないように」と言われても、のどは渇く。夜にトイレに行き、手を洗う蛇口から出てくる水を隠れて飲んでいた。

 医療機関で調べたところ、小学1年生のときに「混合性胚(はい)細胞腫瘍」というタイプの脳腫瘍と診断された。様々なホルモンを出す下垂体に腫瘍ができていたことが、おねしょの原因だった。

 抗がん剤と放射線治療で6カ月入院した。髪は抜け、強い吐き気で病院食は食べられなかった。入院中にうれしかったことは母を独り占めできたこと。弟も体が弱くて、それまで母は弟と一緒に過ごすことが多かったから。ジグソーパズルをしたり、院内学級で作ったパンを一緒に食べたり。毎日、母が帰るときのエレベーターまでの足音を聞くとさみしくなり、母のマフラーを抱きしめて寝た。

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脳腫瘍の治療をしていた頃の山崎理咲子さん(左)と母=本人提供

 小学1年の12月に退院して、1月からは学校にも行けるようになった。少し髪が生えたころに、スーパーの試食コーナーで「お兄ちゃんもどうぞ」と言われたときは、すごいショックだった。

小3から始まった後遺症、体の変化と思春期の悩み

 治療の後遺症が出始めたのが小学3年のとき。体が早く大人びてしまう思春期早発症になった。成長ホルモンも低下して、身長が伸びにくくなった。

 下垂体の機能が低下している…

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