300ページを超える報告書を高知市の永野隆史教育長に手渡すプール事故検証委員会の中内功委員長(右)=2025年3月31日午前9時0分、同市鷹匠町2丁目、亀岡龍太撮影

 昨年7月、高知市立長浜小学校の水泳授業中に4年生の松本凰汰(こうた)さん(当時9)が溺れて死亡した事故で、市の検証委員会は3月31日、事故原因や再発防止策をまとめた報告書を発表した。同小や市教育委員会が、2週間前の授業で松本さんら児童3人が溺れかけた情報を共有できていなかったなどとし「事故は防げた可能性がある」と指摘した。

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 事故は昨年7月5日の授業で起きた。長浜小のプール(水深100~120センチ)が故障で使えず、市教委との協議をへた学校の判断で、近隣の市立南海中学校のプール(同114~132・5センチ)が使われた。当時松本さんは身長113・8センチ、体重16キロで、同年代の児童より小柄だった。

 報告書は、松本さんを含む泳ぎが苦手なグループ(男女26人)を担当した教員が、「児童の中でも特に注意しなければならない」松本さんの姿を確認しないまま壁を蹴って水面を進む「けのびバタ足」をさせたことを「直接の原因」とした。また、苦手グループの指導に、別の教員が途中から加わる判断をしたが、そのタイミングが遅れたことを「主たる原因」とした。

 この教員2人は松本さんが同じプールで昨年6月21日の授業で溺れかけたことを把握していたが、7月5日の授業に加わった教頭とは情報共有ができておらず、役割分担が明確ではなかったことも原因に挙げた。

 さらに、授業を同小より深い南海中のプールで行うにあたり、同小と市教委が深さに関する対策を十分講じなかったと指摘。水深を浅くする調整をしたり、水深が浅い近隣の浦戸小学校のプールを利用したりしていれば「事故発生に至らなかった可能性がある」とした。

 長浜小が保護者に対し、高学年は中学プールを使うとメールで伝えた際、「水を浅く張っているため長浜小学校のプールの深さとあまり変わりません」と、実際の状況と異なる説明をしたことも、児童や保護者の不安が同小に伝わることを困難にしたとも指摘した。

記事の後半では、専門家の見方や事故検証報告書の要旨を紹介しています。

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