大雨がもたらした土砂を運ぶ輪島高校の野球部員ら=2024年9月29日午後2時59分、石川県輪島市房田町、小崎瑶太撮影

 元日の能登半島地震で傷ついた石川県の奥能登地域(輪島、珠洲、能登、穴水の4市町)を、大雨が襲った。今年度は少子化に加えて転出が増え、高校生も減っている。チームの人数確保もままならない部活動の現場を追った。

 9月21日の記録的な大雨で、住宅地にまで土砂や流木が押し寄せた輪島市。斜面が崩れて土砂が用水路をふさぐ一帯で9月末、県立輪島高校(輪島市)の野球部員ら17人がボランティアに励んでいた。スコップで土砂をすくい、バケツリレーで運び出していく。

大雨がもたらした土砂をスコップでかき出す輪島高校の野球部員ら=2024年9月29日午後3時6分、石川県輪島市房田町、小崎瑶太撮影

 志田大武さん(1年)は「にぎやかな町に戻ってほしい」と汗をぬぐう。地震で被災し、大雨では自宅裏の土地がえぐられたという。それでも「友だちや先輩がいる輪島が好きで離れたいと思わない」と話す。

 ただ、立て続けの災害の打撃は大きい。水口遥斗さん(1年)は自宅玄関に丸太が流れ込み、ふさがれたという。生活が落ち着かない。「どんな形でもいいから野球を続けたい」と地元を離れることも考えている。

 冨水諒一監督(42)は「不安を抱える部員もいると思う」と話す。地震で練習グラウンドは一部が崩落。豪雨まで、日本航空高校石川(輪島市)のグラウンドを借りたり、週末に遠征したりしていた。

輪島高校野球部が使っていたグラウンドは地震で一部が崩落した=2024年4月25日午前9時30分、石川県輪島市稲舟町、小崎瑶太撮影

 冨水監督からみて、選手主導の魅力あるチーム。だが、豪雨で「中学生にとって、奥能登の学校を選ばなくてもいい理由がまた増えてしまった」と話す。

 元日の地震は、今年度の高校進学に影響したとみられる。

 県教委によると、奥能登地域の県立5高校の2024年度の入学者数は257人と、前年度の336人の8割以下に落ち込んだ。中学校の卒業者数の減少幅の2・3倍だ。

 入学者数は輪島高で90人か…

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