昨年12月に「非常戒厳」を出し、内乱を首謀した罪で起訴された韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の初公判が14日午前、ソウル中央地裁で始まった。尹氏は非常戒厳の宣布が憲法裁判所に違憲・違法と判断され、今月4日に大統領を罷免(ひめん)されている。
この日は刑事被告人として出廷。尹氏の弁護側はこの日、起訴内容について全面的に否認すると述べた。また、国会から議員を引きずり出すよう上官から指示を受けた、と証言している軍の幹部らの証人尋問も予定されている。
韓国の元大統領が刑事裁判の被告として出廷するのは1987年の民主化以降、李明博(イミョンバク)氏や朴槿恵(パククネ)氏らに続いて5人目。
有罪の場合、死刑または無期刑
起訴状によると、尹氏は昨年12月3日に違憲で違法な非常戒厳を出し、軍と警察を動員して国会を封鎖し、国会議員や選挙管理委員会関係者らを拘束しようと試みたとしている。
韓国メディアによると、この日は検察側が申請した証人として、上官から「(国会の中に入って)議員らを引きずり出せ」と指示されたと憲法裁での弾劾(だんがい)審判で証言した陸軍首都防衛司令部のチョ・ソンヒョン第1警備団長と、特殊戦司令部のキム・ヒョンギ1特戦隊隊長の出廷が予定されている。
憲法は、大統領は在職中に刑事上の訴追を受けないとする「不訴追特権」を認めているが、内乱などは例外と規定している。内乱を首謀した罪が有罪認定された場合、死刑または無期刑が科される。