ソウル近郊の京畿道果川市で2025年1月15日、高位公職者犯罪捜査庁に入る尹錫悦大統領=東亜日報提供

 裁判所が出した拘束令状の執行を拒み、公邸に「籠城(ろうじょう)」を続けた韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領。捜査当局による15日の令状執行は、懸念された大統領警護庁との衝突はなく、「無血開城」に至った。現場では何があったのか。尹氏の弾劾(だんがい)審判や政治への影響はあるのか。

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 捜査員らがバスにはしごをかけて乗り越え、鉄条網を切断する。そうして一つ目の「阻止線」を突破すると、その先にさらにバスの壁はあったものの、警護庁の警護員らによる抵抗はなかった。

 3日に執行を試みた際には警護員ら約200人が「人間の盾」となり捜査員の行く手を阻み、執行断念に追い込まれた。

 今回、合同捜査本部は前回の100人超程度から大幅に増員し、1千人超を動員した。午前4時28分に公邸前に到着し、警護庁に対して拘束令状と捜索令状を提示。執行を拒む場合には現行犯で拘束すると警告した。

 3日の執行断念後に警護庁は公邸の入り口付近に鉄条網を張り、何台もの大型バスを連ねて守りを固めていた。執行の数日前からは、韓国メディアのカメラが警護員らが銃器を持って警備にあたる様子をとらえていた。

 だが聯合ニュースによると、この日は多くの警護員が「待機棟」にいたり、休暇をとっていたりしたという。

 警護庁長を代行する金声勲(キムソンフン)次長ら「強行派」の幹部らは、武力行使をしてでも執行を阻止する方針だったとされるが、警護員らが従わなかったという。

 合同捜査本部の高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)や警察はこの間、警護員らに「心理戦」を展開しており、これも功を奏した模様だ。

 12日には警護庁に執行への…

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