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楓川瑛太捕手(右から2番目)と楓川卓也監督(左端)=旭川スタルヒン
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(12日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会1回戦 士別翔雲4―1釧路江南)

 三塁走者を背負うピンチを何度もしのぎ、同点で迎えた八回表。釧路江南は先頭打者に二塁打を浴び、続く打者にも内野安打を決められ無死一、三塁のピンチ。「流れが悪いので、ボール先行にならないように気をつけなければ」。楓川瑛太捕手(3年)は気を引き締めた。

 しかし、士別翔雲の5番の大橋広翔選手(3年)への2球目、甘く入ったスライダーを左前に運ばれ、勝ち越しを許す。この回計5安打を浴び3失点。試合を決定づけられた。

 「まわりは見えていたが、逆に慎重になりすぎたかもしれない。終盤も粘りきれなかった」。試合後、表情に悔しさを浮かべながら淡々と話した。

 昨冬、選抜大会の21世紀枠候補に選ばれた。甲子園は手が届く場所に思えた。夏こそは。その夢はついえた。

 卓也監督は父親だが、親子の関係なく釧路江南に進学を決めた。中学時代の仲間が多く、練習環境にひかれたからだ。卓也監督も「ユニホームを着ている時は親子の感情はない」という。

 試合後、卓也監督は「一選手として大きく成長してくれた。悔しさも残ったと思うが、今日の敗戦が彼の未来につながっていってもらえればいいなと思う」と父親の顔ものぞかせた。

 楓川選手は、「釧路江南に来て、思い切り野球に打ち込み充実した2年半。父だけではく母にも感謝を言いたい」。進路は決めていないが、なんらかの形で野球は続けたいという。「次は悔いの残らないようにしたい」と胸に誓った。

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