割れた瓦を取り除く消防士たち。災害ボランティアが手ほどきをした=2025年9月18日午前11時14分、静岡県牧之原市細江、戸村登撮影

 台風15号に伴う国内最強級の竜巻から19日で2週間。住宅1100棟以上が損壊した静岡県牧之原市で18日、消防士が住宅の屋根に上り、割れた瓦を取り除く作業に乗り出した。専門業者に依頼が殺到し、応急処置に時間を要するなか、市が要請した。消防士が公務でこうした作業をするのは全国でも珍しいという。

 市災害ボランティアセンターに寄せられた被災者の要望を受け、市が消防に派遣を依頼する仕組み。危険を伴う高所作業は、一般のボランティアでは対応が難しく、消防士に白羽の矢が立った。

 18日は静岡市消防局の牧之原、吉田の両消防署から消防士7人が駆け付けた。高所作業の経験が豊富なNPO「災害救援レスキューアシスト」(奈良県宇陀市)の指導を受けながら、屋根に上り、割れた瓦を取り除いた。

 熊本地震や能登半島地震の被災地でも活動をしてきた同NPOの中島武志代表理事(48)は、屋根の損傷が激しいことから「大地震クラスの被害を受けているイメージ。頼りになる消防職員と活動できるのはうれしく、誇らしい気持ち。住民も安心すると思う」と話した。

 今回の取り組みについて、市や消防署との話し合いに加わった、災害時の技術系支援グループNPO「DEF 災害エキスパートファーム」の(東京都あきる野市)の鈴木暢代表は「災害復旧のボランティアに消防署の部隊が公務として参加するのは、全国でも珍しい」と話している。

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