近畿大会1回戦で敗れ、うつむく履正社の選手たち=2024年10月19日、ほっともっと神戸、大坂尚子撮影

 (19日、高校野球秋季近畿大会1回戦 滋賀短大付4―1履正社)

 相手投手の遅い球を、捉えられそうで捉えきれない。そんな焦りが履正社を覆った。

 幸先は良かった。一回、先頭の矢野塁の安打と二盗を足がかりに、犠飛で1点を先行した。

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 ただ、後が続かなかった。

 滋賀短大付のエース左腕は、横手気味で球の出どころが見えにくいフォームから120キロ前後の直球を投げてきた。対策として低く鋭い打球をセンターに返すことを徹底していたが、二回以降は内外角を丁寧に突かれ、攻めあぐねた。

 初回以来の得点機となった八回2死一、二塁では、5番金光祥玄が低めいっぱいの直球で見逃し三振に倒れた。1年生ながら中軸を任された右打者は、走者を置いた3打席を含めて4打数無安打。「打席内で自分の中で修正できたつもりだったけど、相手がうまいことコースに投げてきた」と悔しさをにじませた。

 7安打は放ったものの連打はなく、1点どまり。「僕の責任。生徒は大阪府予選も含めて頑張ってくれた。申し訳ない気持ちでいっぱい」と多田監督はうなだれた。

 新チームは、今夏の大阪大会準決勝でコールド負けした大阪桐蔭を意識し、「打倒桐蔭」を掲げてきた。

 その言葉通り、秋季近畿大会大阪府予選決勝では大阪桐蔭の6連覇を阻み、6年ぶりに優勝した。ただ、ライバルを倒したことで「心の緩みがあったんじゃないか」と主将の矢野は振り返る。

 これで来春の選抜大会出場は絶望的となった。顔を覆い、すすり泣く選手もいた。矢野も「明日から切り替えて練習しないといけないけど、みんながすぐに切り替えられないと思う」としつつ、「何もかも未熟。チーム力を上げていかないといけない」と必死に前を向こうとしていた。(大坂尚子)

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