山形大は、超小型人工衛星を宇宙に打ち上げる「ベニバナ・サット」プロジェクトを始動した。県内企業と連携し、2028年度までの1号機打ち上げをめざす。
プロジェクトは、デジタル技術に精通したエンジニアを育成することを目的に、工学部がある米沢キャンパスに昨年度設置された寄付講座「ソーシャルイノベーションDX」が担う。
打ち上げを計画しているのは、1辺が10センチの立方体で重さ約1キロの「キューブサット」と呼ばれる超小型人工衛星。数百万円で製作が可能で、国内外の大学で打ち上げ例がある。
民間の補給船などで地上約400キロの宇宙空間を周回している国際宇宙ステーション(ISS)まで運び、ISSから宇宙空間に放出し、宇宙撮影やデータ転送、エネルギー制御などの技術を検証する。
ただ、目的はあくまで県内の人材や技術を駆使しての人工衛星の製作や運用で、設計・製作には山形大の学生や研究生に加え、材料や技術で県内企業の協力も募る方針。
三菱総研顧問で、プロジェクトを主導する亀井信一教授は「県産人工衛星の打ち上げで県民に夢を与えたい。プロジェクトを通じて学内に人材や技術のハブ(結節点)をつくり、山形での持続的な人材育成や小型衛星産業の展開にもつなげたい」と話している。