山岳信仰の聖地・出羽三山のひとつ羽黒山(はぐろさん、山形県鶴岡市、414メートル)で、来年度から入山協力金の導入を予定している。国指定特別天然記念物の杉並木の保全や宿坊街の活性化にあて、山と宿坊街が一丸となって歴史・文化継承をめざす。
羽黒山の山頂には出羽三山神社の三神合祭殿があり、約1.7キロ、2446段の石段の参道両わきに、537本の杉が連なる。荘厳な風景が観光客に人気で、日本旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では最高評価の三つ星を獲得した。ただ、近年は団体客が減り、地元の人口減少も進む。
杉の多くは戦国時代末期~江戸時代初期に植えられ、樹齢300~500年。老木化が進んで内部が空洞になったり、幹や枝の一部が折れたりした危険な木が22本、注意が必要な木が35本に上る。2017年には、倒れた木が境内の末社を直撃。社殿が大破し、復旧に多額な費用がかかった。これをきっかけに、並木や社殿の保全のあり方を考えるようになった。並木の保全にあたる出羽三山神社の伊藤信・森林技監は「見た目ではわからなくても、危険な木が多い」と指摘する。
23年には出羽三山神社や地元の自治振興会、宿坊組合、観光協会などが「羽黒山スギ並木保全とまちづくり協議会」(会長=阿部良一・出羽三山神社宮司)を発足。話し合いを重ね、出羽三山の歴史文化を伝える文化財や杉並木の維持管理、人口減少が進む宿坊街・手向(とうげ)地区の歴史的な景観整備や空き家対策のための原資として、来年度から「羽黒山入域協力金(仮称)」を導入する方針を固めた。
阿部会長は「羽黒山と山伏の里の未来のため、地域が誇る伝統文化や文化財などの文化資源を継続的に維持し、伝統文化が地域の発展に寄与するための仕組みとして期待する」という。
9月18日から実証実験
計画では、参道入り口の随神…