山形大に来春、従来の「学部」に相当する新たな教育組織「社会共創デジタル学環」が誕生する。文部科学省から設置認可を受け、同大が12日に発表した。文系と理系の学びを融合し、デジタル技術を活用して地域課題の解決に取り組む人材育成を目指す。
学部相当の新組織は今回で七つ目となる。小白川キャンパス(山形市)にある人文社会科学部、地域教育文化学部、理学部を横断する形で設置し、3学部から定員を移して30人でスタートする。12日の記者会見で、玉手英利学長は「デジタル人材の育成が喫緊の課題となる中、新たな教育改革が必要と考えた」と話した。
人口減少や高齢化といった地域課題の解決には、従来の教育の枠組みだけでは太刀打ちできず、課題を見渡して考える論理的思考力などが必要とされる。そこで新組織では、アントレプレナーシップ(起業家精神)やビジネスの視点を持ち、デジタル技術を用いて解決に向けた企画立案や新たな価値の創出に挑む人材を養成する。
また、来春には大学院理工学研究科博士前期課程に「数理情報システム専攻」も設置される。地域の産業界に貢献できる高いデジタル技術を持つスペシャリストの育成が求められており、それに応えた形だ。理学専攻データサイエンス領域(小白川キャンパス)と情報・エレクトロニクス専攻(米沢キャンパス)を統合・拡充し、定員88人で始める。知識や技術を持つ大学院生が地元企業で技術開発に挑むなど、より実践的なカリキュラムにするという。(安斎耕一)