山梨県教育委員会は、今年3月5日に実施された今年度の公立高校の入学試験の結果をまとめた。国語、社会、数学、理科、英語の5教科を通じて、基礎的な知識や技能を問う問題の正答率は高かったものの、数学では「複数の領域にわたって総合的に考える」といった応用面で課題が見られたという。
全日制高校の入試で全教科を受検した3191人(前年比150人減)が対象。個別の問題の正答率や回答の傾向については無作為に抽出した321人を対象にした。各科目100点満点の計500点満点で、平均点は前年度より5.4点高い266.6点。教科ごとの平均点は、国語57.3点(+2.3点)、社会50.8点(+0.1点)、数学48.3点(+1.1点)、理科54.5点(-2.1点)、英語55.8点(+4.1点)だった。
県教委は、中学校での指導や、生徒の学習などに役立ててもらおうと、出題の狙いや、抽出調査の結果・分析、課題が浮き彫りになった問題を選ぶなどしてまとめた「学力検査結果活用ガイド」を作成し、県内の中学、高校に配布するほか、県のウェブサイトで公開する。
活用ガイドでは、作家の村田沙耶香さんのエッセー集「となりの脳世界」(朝日新聞出版)から出題された国語の大問3を解説。登場人物の心情の変化などを読み取る設問の正答率が10.3%と低かった点に触れ、「描写を基に捉える資質・能力の育成への継続した取り組みが必要」と指摘している。