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八重桜の加工作業=2025年4月16日、神奈川県秦野市千村、中島秀憲撮影
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 目を楽しませる桜は、舌も喜ばせてくれる。塩に漬けた「桜漬け」の全国屈指の産地である神奈川県秦野市千村地区で、原材料となる八重桜の摘み取りと加工作業が本格化している。担い手が減る中で地区の伝統を支えるのは、若手就農者だ。

 「きょうは量が多いから、大変だあ」。ゴザの上に山盛りになった桜の花の向こうから、笑い声混じりにそんな声が聞こえてきた。地域グループ「千村若竹会」の加工場には夕方、近隣の農家が摘み取ったばかりの花を次々に持ち込んでくる。

 花にまぎれた小枝やチリを取り払い、形の悪いものを除く。選別された花をバケツに入れ、梅酢と塩で漬け込んでいく。会代表の加藤菊恵さん(45)によると、摘んだその日に漬け込まなければならず、量が多い日は夜10時過ぎまで作業が続くこともあるという。

起源は江戸時代 祭の資金に

 千村地区で桜漬けが盛んにな…

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