攻撃と防御にわかれ、ドーナツのような形のゴール前でせめぎ合うドローン=2025年1月20日午後5時4分、鳥取県米子市、渡辺翔太郎撮影

 ボールに見立てたドローンを操り、ゴールを狙う。全国でも珍しいドローンサッカー部が、鳥取県米子市の米子北高校にある。

 同校に「ドローンサッカー部」が誕生したのは、2023年秋のことだった。サッカーなどスポーツの強豪校として知られるが、生徒全員がスポーツを得意としているわけではない。部活動をしていない「帰宅部」の生徒もいた。

 そこで学校は、「いろんな文化部をつくることで、生徒たちが活躍できるきっかけをつくりたい」と、新たにガーデニングや軽音楽などの文化部を立ち上げた。そのなかの一つが、ドローンサッカー部だった。

 ドローンサッカーは、球状のフレームで覆われた「ドローンボール」を操り、ドーナツのような円形の相手ゴールをくぐって得点を狙う。各チーム5人で5台ずつドローンを飛ばして対戦。ゴールを目指すストライカーや、相手チームのドローンから自陣のゴールを守ったり得点をアシストしたりする役もあり、操縦技術だけでなく戦略やチームワークも勝敗を大きく左右する。

 1月、学校を訪れると、「ウィーン」という音が廊下にまで響いていた。

 教室のドアを開けると、なかにはネットが張られ、ドローンが飛んでいる。教室の後ろの黒板には、「部員増やせ!」の文字。現在の部員は9人。しかし3年生が6人なので、卒業すると部員は3人になってしまうという。

 23年の創部当初は、部員2人でスタートした。創部メンバーの1人、森田涼太さん(3年)は「体験会で『おもしろそうだな』と思って入部したら、ちょーおもしろかった」と振り返る。

 「自分の好きなようにドローンを動かせるのが楽しいし、試合では味方との連係や作戦も大事で、戦略性があっておもしろい。入部前は帰宅部で、高校の思い出はあんまりなかった。でも、全国大会で勝つこともできたし、たくさんの思い出ができた。友達も増えた。入ってよかった」

 新主将の傘井奏さん(2年)は「ドローンにはあまり興味はなかったけど、予選もなく全国大会にすぐに出られるのがいい。ドローンの操縦をしたことはなかったけど、2カ月ぐらいで思ったように動かせるようになった。いまの目標は『部員を増やす!』です」と話す。

 顧問の足立浩一教諭(35)は「30分もレクチャーすれば、すぐにコツをつかんでドローンを動かせるようになる。男女も関係ないし、誰でも強くなれるのがドローンサッカー。大会には大学生や社会人も参加しており、いろんな世代の人と交流することで、生徒には社会的な経験を積んでほしい」と期待している。

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