鳥取、島根両県の春の県大会上位2校が出場する第64回山陰高校野球大会(山陰両県の高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は8日、松江市の松江市営野球場で決勝があった。決勝は、ともにタイブレークの末に、大社(島根2位)に競り勝った鳥取城北(鳥取1位)と、米子東(鳥取2位)にサヨナラ勝ちした矢上(島根1位)が対戦し、矢上が14―4で鳥取城北を下して初優勝を果たした。
序盤に大量得点
◎…矢上が序盤に大量得点し、勝負を決めた。三回、無死満塁から岩野が適時打を放ち、1点追加。さらに適時打や押し出し四球などで点を積み重ね、この回10点を奪った。鳥取城北は六回に橋本の本塁打で2点、八回にも2点を返したが、及ばなかった。
矢上・岩野選手 左打ちで開花
矢上は3点リードの三回裏、10得点を挙げた。その口火を切ったのは昨年、左打者に転向した岩野拓空(たく)選手(3年)。先頭打者が安打で出塁し、その後四球と野選で無死満塁の好機に打席が回ってきた。
「いけいけムードだったんで、積極的に振っていくことを意識した」。初球の直球は見送り、2球目の外角から中に入ってきたスライダーを振り抜いた。打球は三遊間を破って左前へ。三塁走者をかえし、ベース上で笑顔になった。
俊足で守備範囲が広い二塁手。しかし、入部以来、打撃が課題で、守備固め要員だったという。
転機は昨年夏。山本翔監督から「左でバットを振ってみい」と言われ、振ってみるとスイングの軌道がよかった。
「左なら足を生かせて出塁率があがる」。山本監督から左打者への転向を勧められ、ひたすら固定したボールを打つティーバッティングに打ち込んだ。納得がいくスイングを身につけた今春、先発メンバー入りした。
この日は、三回裏の2度目の打席でも右越えの三塁打を放ち、走者2人をかえした。「左に変わって良かったっす」。にんまりとほほえんだ顔には、自信がみなぎっていた。
鳥取城北・平山選手 夏見据えリード磨く
鳥取城北は、4番の平山暖也(はるや)選手(3年)が3打数3安打1打点と好調で、相手の左腕エースを攻略した。「中に入ってきた球は一発で仕留めよう」と思い、右打席へ。1打席目に二塁打を打った後、単打、四球、三塁打と結果を出した。
前日の大社戦で左翼に本塁打を放ったばかり。「(今日は)いい感触をもって打席に入れた」という。「低めのボール球に手を出さず、失投や浮いた球を打つよう心がけている。それができた」と振り返る。
悔いが残るのが守備だ。要の捕手として、序盤は投手を引っ張れなかった。「相手が真っすぐをねらっていたので、変化球でカウントを取りにいったが、ボール、ボールと続き、真っすぐしか投げる球がなくなった」。三回の守りでは、安打と四球、野選で無死満塁のピンチを招いた後、7本の長短打を許した。
主将を務める。自身のリードを磨くと同時に、投手陣については「真っすぐを生かすため、変化球の精度を高めたい」。1カ月後に始まる鳥取大会を見据えて話した。