佳作に選ばれた後藤凛羽さん=2025年1月31日、岡山市中区、勝亦邦夫撮影

 全国の中学生・高校生が心に響いた「ことば」のエピソードを作文にした「私の折々のことばコンテスト2024」(朝日新聞社主催、朝日中高生新聞共催、Z会、栄光ゼミナール特別協賛)で、岡山県内からは山陽学園中学1年の後藤凛羽(りのは)さん(13)が中学部門の佳作に選ばれた。10回目の今回は2万7616作の応募があった。

 夏休みの宿題で取り組んだ後藤さんは、同居する87歳の祖母が話した「幸せと感じる内容は人それぞれ」を「ことば」に選んだ。

 子ども時代を戦時下で過ごした祖母は数年前から、終戦の日に当時のことを後藤さんと姉に話してくれるという。住んでいた家が空襲で焼けたこと、いつ爆弾が投下されるかわからず安心して眠れなかったこと……。そうしたことを聞き、戦時中は悲しいことばかりだと考えていた。

 ところがこの夏、祖母の「ことば」を聞いてハッとした。苦しいときでも楽しいことを見つけて生き抜いた祖母のように、一つひとつのことを大切にする気持ちを持ちたいと思うようになった。

 祖母は後藤さんが真剣に話を受け止め、思いをつづった作文で受賞したことを喜んでいるという。後藤さんは「祖母がうれしいと言ってくれた。受賞できてよかった」と話した。

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 幸せと感じる内容は人それぞれ 祖母

 この言葉は私の祖母が私や姉に戦時中の話をしてくれた時に言った言葉である。祖母は今年で87歳で小学生の時に戦争を体験している。戦時中の色々な話を聞かせてくれていた時に姉が、今の恵まれた時代に生まれてきたかったと思ったことはないのかと尋ねたことがあった。そこで祖母は私が予想していない答えをした。

 苦しい時代を生きぬいたからこそ今の自分があると。与えられた環境の中で一つでも楽しいことを見つけそれを大切に生きていく時代であったと教えてくれた。

 人と比べて自分は不幸だと思うこともあったが、祖母の様に一つ一つのことを大切にし、幸せと感じられる気持ちを持ちたいと思う。

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